(Moeke yarn 代表の Ioana)
http://moeke-yarns.com/

ルーマニアの羊毛との出会い
探し続けていた、環境にも動物にもフレンドリーなウール。
「Moeke yarn」と出会い、やっと見つけました。
代表の Ioana は、オランダ在住のルーマニア人。
実は、ルーマニアにおいて羊の牧畜は、ローマ帝国時代以前から続く代表的な産業であり、
その伝統的な手法は、産業革命以後も頑なに守られ続けています。
一方で、羊の毛を糸にするまでのプロセスは近代化されてきました。
そのような状況のなかで、Ioana は、まだルーマニアに残っている数少ない糸紡ぎ工場と協力し、
昔ながらのルーマニア産の毛糸を作る会社を立ち上げたのです。

羊の尾は長いのが自然
ところで、生まれたばかりの羊の尾が長いことをご存知ですか?
そしてその尾には、体と同様にやがてムクムクと毛が生えてくるため、そのままにしておくとそこに 排泄物が絡まり、虫が湧いてきます。 それを防ぐため、現在では仔羊の時に、断尾したり、お尻の皮ごと剥いでしまうミュールズ手術を ~多くの場合麻酔なしで~施すのが、世界中で一般的になっています。 仔羊にとっては、少なからずストレスを感じることだと思います。 でも、ルーマニアでは湿度と気温が羊の牧畜に適しており、尾に虫が湧かないため、
その必要がありません。 羊の尾は、自然のまま、長いままなのです。

伝統的なルーマニアの紡績
羊毛を大量生産する場合、原毛についた草を 100%除去しないと、工業用の紡績機械を動かすことはできません。 そのため、原毛は希硫酸を使用する化炭処理をされ、ゴミを完全に炭化して除去します。 化炭処理は、環境問題も引き起こしますが、それと引き換えに、私たちに身近な、均一な細い糸を紡績することが可能になるのです。
一方、ルーマニアの伝統的な紡績は少し異なります。 羊の毛刈りは、年に一回、気候が十分に暖かくなった時に、羊飼いの手によって行われます。 今でも、電気カミソリではなく、大きな手バサミで優しく毛が刈られます。 そして、原毛を昔ながらの機械にかけ紡績するのです。 ルーマニアの伝統的な工場では、化炭処理はしません。 石鹸で洗い、ある程度の汚れを落とすのみです。 そのため、出来上がった糸にはワラなどが少し残っています。
アミツムリの商品においては、製品になった後、社内において手作業で、残っている藁を取り除いています。

【原毛が毛糸になるまでの伝統的なプロセス】